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役立つ情報

災害時のトイレはどうする?
災害用トイレの選び方

このぺージでは、災害用トイレの選び方を紹介します。

【日本トイレ研究所 災害用トイレガイド】より転載しております。
https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/about/
図表等は省略しておりますので、【日本トイレ研究所 災害用トイレガイド】をご確認ください。

1. 災害時のトイレ事情

https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/example/

災害時のトイレ問題

震災が起きると、断水や停電、そして下水や浄化槽の損壊により、多くの水洗トイレは使えなくなります。 水洗トイレが使用できないことに気付かず使ってしまうと、便器はあっという間に大小便で一杯です。 トイレの衛生環境が悪化し、感染症の温床になります。これは、自宅、事業所、避難所、いずれにおいても同様です。 トイレが不衛生で不快な場合だけでなく、トイレが遠い、寒い、暗い、怖いなど、使い勝手が悪いと私たちはトイレに行く回数を減らすために、 水分や食事を控えてしまいがちです。その結果、脱水症状になるほか、慢性疾患が悪化するなどして体調を崩し エコノミークラス症候群や脳梗塞、心筋梗塞で命を落とすことにもなります。

仮設トイレはすぐに来ない

避難所トイレとして思い浮かぶのは、仮設トイレです。
では、東日本大震災のとき、仮設トイレが避難所に行き渡るのにどのくらいの日数を要したのでしょうか?
岩手県、宮城県、福島県の特定被災地方公共団体の29団体から得られたアンケート結果によると、3日以内は34%でした。
一方で8日以上は49%でした。私たちは、仮設トイレがすぐに配備されると思いがちですが、この結果から分かるように、すぐには来ません。
事前の備えがいかに重要かが分かります。ここでの備えは、簡易的な災害用トイレの備えとマンホールトイレのような設備的備えの両方を意味します。
さらに、仮設トイレの多くは、建設現場を主目的として開発されたものです。
そのため、子どもやお年寄りまで、さまざまな人が使用する避難所トイレとしてふさわしくありません。
洋式が少ない、段差がある、狭い、暗い、施錠が特殊だなどです。被災者のことを考えた災害用トイレの整備が必要です。

2. 災害用トイレの選び方

https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/choice/

被災状況や利用者層、発災からの時間経過によって、災害用トイレを使い分ける必要があります。 特に女性、高齢者、子ども、障がい者、妊産婦、外国人などが、安心して快適にトイレを使える環境をつくることが大切です。 災害用トイレの備えは、被災者の健康や命を守ることにつながります。 ここでは、Q&A方式で、災害用トイレの選び方を確認することができます。

Q1.災害用トイレとは何を指しますか?

A.災害時に使用することを想定して作られた一時的、または継続的に使用するトイレを指します。

Q2.災害用トイレを選ぶ前に、どのようなことを準備すればよいですか?

A.以下の(1)〜(5)の手順に沿って、情報を収集・整理してください。
(1) 災害用トイレの種類を知る
災害用トイレには多くの種類があります。どのような種類があるのか、実際に販売されている製品の詳細などを把握することが必要です。
(2) 災害用トイレを備える場所を決める
災害用トイレを備える場所を決めてください
例:避難所(学校、公民館など)、役所、公共施設、駅、公園、福祉施設、病院、事業所(事務所、工場など)、商業施設、住居(中高層マンション、戸建住宅)等
(3) 備える場所のインフラ状況などを調べる
災害用トイレによって必須となるインフラ(上下水道、電気、道路、井戸、公共用水域等)が異なります。
備える場所が決まった後は、インフラ状況を確認する必要があります。
(4) 使用対象者を想定する
トイレを備える際に配慮すべき内容は、女性、高齢者、子ども、障がい者、妊産婦、外国人など対象者によって異なります。
誰のためにトイレを備えるのかを明確にする必要があります。
(5) 廃棄物(し尿等)の保管・処分方法を決める
携帯トイレの場合、使用後の処分方法、仮設トイレの場合はし尿のくみ取り方法等、廃棄物(し尿等)の保管・処分方法についてあらかじめ決めておく必要があります。

Q3.災害用トイレはどのように選べばよいですか?

A.基本的にはそれぞれの災害用トイレの特性を踏まえ、時間経過と被災状況に応じた組み合わせで、避難所等において良好なトイレ環境を切れ目なく提供するよう努める必要があります。

Q4.災害用トイレの必要数はどのように考えたらよいですか?

A.内閣府(防災担当)では「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(2016年4月)を発行し、避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保と管理に関して指針が示されており、目標とするトイレの必要数の考え方が明示されています。 また、国土交通省では「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」(2016年3月)を発行し、マンホールトイレの必要数が明示されています。

Q5.災害用トイレの必要数を計算するツール等はありますか?

A.内閣府(防災担当)では2016年4月に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を発行し、その附属資料として「災害時のトイレの必要数計算シート」(Excel:50KB)を公開しています。
計算シートは、1.避難所の被害状況の想定、2.災害時のトイレ(便器)確保目標の設定、3.トイレの種類ごとに必要数を見積り、 備蓄や配備計画の根拠資料として活用できるように具体的な数字を割りだすことを目的にされています。ガイドラインの内容を参考にし、 実際に必要な数を算出して下さい。

Q6.快適なトイレ環境の確保に向けて配慮すべき事項はなんですか?

A.安全・安心を第一とし、その上で、要配慮者への配慮、衛生面の配慮を行って下さい。また、障がい者や女性などの意見を積極的に取り入れることが重要です。例えば、女性や子どもにとってはトイレの夜間使用は性犯罪等に巻き込まれる可能性があるなどの危険が伴います。

Q7.国の災害用トイレに対する補助制度があれば教えてください。

A.補助制度には下記のようなものがあります。詳細については担当部局にご確認下さい。(2017年3月現在)
●防災機能等強化緊急特別推進事業(文部科学省)
対象事業の中で「防災機能強化事業」については、既存施設への屋外便所、マンホールトイレ、防火水槽、耐震性貯水槽等の屋外防災施設の整備等に要する既存校舎等の改修・改造工事にかかる補助が受けられます。
●下水道総合地震対策事業(国土交通省)
災害対策基本法及び同法に基づく地域防災計画に位置付けられた施設(敷地面積0.2ha以上(※注)の防災拠点又は避難地に限る。)
に整備するマンホールトイレシステム(ただし、マンホールを含む下部構造物に限る)で、地方公共団体の下水道管理者が策定する
「下水道総合地震対策計画」に位置付けられたものについては、補助率2分の1で社会資本整備交付金の防災・安全交付金事業の基幹事業として財政支援を受けることができる。」
(「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」事業概要から抜粋)
※注 2016年12月に当初の敷地面積1ha以上から0.2ha以上に緩和されました。
●社会資本整備総合交付金における防災・安全交付金事業の効果促進事業(国土交通省)
地域の防災・減災、安全を実現する「整備計画」に基づく地方主体の取組について、基幹事業と一体となってその効果を一層高めるために 必要な事業等(マンホールトイレの上部構造等)は、防災・安全交付金事業の効果促進事業として財政支援を受けることも可能です。

Q8.災害時のトイレに関する国のプッシュ支援とはどのような内容ですか?

A.首都直下型地震および南海トラフ地震については下記のような想定が発表されていますいずれもプッシュ支援(地方公共団体から要請が上がる前に中央省庁から支援を行うスキーム)における想定となります。
●首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画(2016年3月29日)内閣府(中央防災会議)
プッシュおよびプル型支援として、被災都県に供給・調達する品目に携帯トイレ・簡易トイレが記載されています。
また、避難所避難者数や避難所外避難者数に必要な携帯トイレ・簡易トイレの必要数の算出式、トイレの必要数も記載されており、発災後4日目から7日目の4日間分のトイレの必要数は、約3,500万回分とされています。
●南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(2015年3月30日)内閣府(中央防災会議幹事会)
プッシュおよびプル型支援として、被災都県に供給・調達する品目に携帯トイレ・簡易トイレが記載されています。
また、避難所避難者数に必要な携帯トイレ・簡易トイレの必要数の算出式、トイレの必要数も記載されており、発災後4日目から7日目の4日間分のトイレの必要数は、約5440万回分とされています。

3. 災害用トイレの特徴

https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/feature/

・携帯トイレ 断水や排水不可となった洋式便器等に設置して使用する便袋(し尿をためるための袋)を指します。
・簡易トイレ し尿を単に溜めるタイプ、し尿を分離して溜めるタイプ、電力を必要とするタイプがあります。
・仮設トイレ(ボックス型) 建設現場やイベント等のトイレとして開発されたトイレです。
・仮設トイレ(組立型) トイレ室と便器が一体になり、災害時に組み立てる製品を指します。
・マンホールトイレ(上屋) マンホールの上に設置するパネル型、テント型などのトイレ室のことを指します。
・マンホールトイレ(便器・便座) マンホールトイレ鉄蓋の上に設置する和式や洋式の便器・便座を指します。
・マンホールトイレ(鉄蓋) マンホールに設置された鉄蓋のうち、緊急時にマンホールトイレとして使用できる鉄蓋のことを指します。
・マンホールトイレ(下部構造) 地上部の上屋、便器・便座に対し、鉄蓋を境にした地下部分を指します。
・自己処理型トイレ し尿処理装置がトイレ自体に備わっているトイレです。
・車載トイレ 車に搭載され、し尿を貯留するタイプや処理装置を備えたタイプがあります。
・災害対応便器 平常時は通常の水洗トイレとして使用し、断水時等には貯留型(くみ取り式)トイレとして使用できる便器を指します。
・災害対応型常設トイレ 災害時にもトイレ機能を継続させるため、災害用トイレを備えた常設型の水洗トイレのことを指します。
・衛生関連製品 感染予防目的とした製品や、臭気対策、個人防護具、清掃用品、衛生教育ツールなどがあります。

4. 日本トイレ研究所とは…

https://www.toilet.or.jp/toilet-guide/feature/

トイレの改善・整備は国内外を問わず、人々に快適性や利便性、健康を提供し、地域の安全や地域経済の活性化にも貢献します。
さらに生態系に配慮したトイレ・し尿処理を実践することは、地球環境への配慮という観点からも重要です。
日本トイレ研究所は関係機関と連携し、ネットワークを組みながら、トイレの改善をとおして、誰にとっても安全・安心できる地域社会づくりと健全な地域環境づくりに貢献することを目的として活動します。
公共トイレに関する調査・研究、トイレ教育、トイレ環境の改善に向けた普及啓発を柱にしながら、トイレ環境はどうあるべきかを総合的に研究し、トイレからの社会改善に向けて行動・実践します。
また、阪神淡路大震災を契機として、東日本大震災以降に災害時のトイレ問題に本格的に取り組んでいます。
ハマネツは日本トイレ研究所の会員として、トイレ環境改善に取り組んでいます。

2021年3月1日現在

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日本トイレ研究所 HP www.toilet.or.jp/