被災状況や利用者層、発災からの時間経過によって、災害用トイレを使い分ける必要があります。
特に女性、高齢者、子ども、障がい者、妊産婦、外国人などが、安心して快適にトイレを使える環境をつくることが大切です。
災害用トイレの備えは、被災者の健康や命を守ることにつながります。
ここでは、Q&A方式で、災害用トイレの選び方を確認することができます。
Q1.災害用トイレとは何を指しますか?
A.災害時に使用することを想定して作られた一時的、または継続的に使用するトイレを指します。
Q2.災害用トイレを選ぶ前に、どのようなことを準備すればよいですか?
A.以下の(1)〜(5)の手順に沿って、情報を収集・整理してください。
(1) 災害用トイレの種類を知る
災害用トイレには多くの種類があります。どのような種類があるのか、実際に販売されている製品の詳細などを把握することが必要です。
(2) 災害用トイレを備える場所を決める
災害用トイレを備える場所を決めてください
例:避難所(学校、公民館など)、役所、公共施設、駅、公園、福祉施設、病院、事業所(事務所、工場など)、商業施設、住居(中高層マンション、戸建住宅)等
(3) 備える場所のインフラ状況などを調べる
災害用トイレによって必須となるインフラ(上下水道、電気、道路、井戸、公共用水域等)が異なります。
備える場所が決まった後は、インフラ状況を確認する必要があります。
(4) 使用対象者を想定する
トイレを備える際に配慮すべき内容は、女性、高齢者、子ども、障がい者、妊産婦、外国人など対象者によって異なります。
誰のためにトイレを備えるのかを明確にする必要があります。
(5) 廃棄物(し尿等)の保管・処分方法を決める
携帯トイレの場合、使用後の処分方法、仮設トイレの場合はし尿のくみ取り方法等、廃棄物(し尿等)の保管・処分方法についてあらかじめ決めておく必要があります。
Q3.災害用トイレはどのように選べばよいですか?
A.基本的にはそれぞれの災害用トイレの特性を踏まえ、時間経過と被災状況に応じた組み合わせで、避難所等において良好なトイレ環境を切れ目なく提供するよう努める必要があります。
Q4.災害用トイレの必要数はどのように考えたらよいですか?
A.内閣府(防災担当)では「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(2016年4月)を発行し、避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保と管理に関して指針が示されており、目標とするトイレの必要数の考え方が明示されています。 また、国土交通省では「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」(2016年3月)を発行し、マンホールトイレの必要数が明示されています。
Q5.災害用トイレの必要数を計算するツール等はありますか?
A.内閣府(防災担当)では2016年4月に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を発行し、その附属資料として「災害時のトイレの必要数計算シート」(Excel:50KB)を公開しています。
計算シートは、1.避難所の被害状況の想定、2.災害時のトイレ(便器)確保目標の設定、3.トイレの種類ごとに必要数を見積り、 備蓄や配備計画の根拠資料として活用できるように具体的な数字を割りだすことを目的にされています。ガイドラインの内容を参考にし、 実際に必要な数を算出して下さい。
Q6.快適なトイレ環境の確保に向けて配慮すべき事項はなんですか?
A.安全・安心を第一とし、その上で、要配慮者への配慮、衛生面の配慮を行って下さい。また、障がい者や女性などの意見を積極的に取り入れることが重要です。例えば、女性や子どもにとってはトイレの夜間使用は性犯罪等に巻き込まれる可能性があるなどの危険が伴います。
Q7.国の災害用トイレに対する補助制度があれば教えてください。
A.補助制度には下記のようなものがあります。詳細については担当部局にご確認下さい。(2017年3月現在)
●防災機能等強化緊急特別推進事業(文部科学省)
対象事業の中で「防災機能強化事業」については、既存施設への屋外便所、マンホールトイレ、防火水槽、耐震性貯水槽等の屋外防災施設の整備等に要する既存校舎等の改修・改造工事にかかる補助が受けられます。
●下水道総合地震対策事業(国土交通省)
災害対策基本法及び同法に基づく地域防災計画に位置付けられた施設(敷地面積0.2ha以上(※注)の防災拠点又は避難地に限る。)
に整備するマンホールトイレシステム(ただし、マンホールを含む下部構造物に限る)で、地方公共団体の下水道管理者が策定する
「下水道総合地震対策計画」に位置付けられたものについては、補助率2分の1で社会資本整備交付金の防災・安全交付金事業の基幹事業として財政支援を受けることができる。」
(「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」事業概要から抜粋)
※注 2016年12月に当初の敷地面積1ha以上から0.2ha以上に緩和されました。
●社会資本整備総合交付金における防災・安全交付金事業の効果促進事業(国土交通省)
地域の防災・減災、安全を実現する「整備計画」に基づく地方主体の取組について、基幹事業と一体となってその効果を一層高めるために 必要な事業等(マンホールトイレの上部構造等)は、防災・安全交付金事業の効果促進事業として財政支援を受けることも可能です。
Q8.災害時のトイレに関する国のプッシュ支援とはどのような内容ですか?
A.首都直下型地震および南海トラフ地震については下記のような想定が発表されていますいずれもプッシュ支援(地方公共団体から要請が上がる前に中央省庁から支援を行うスキーム)における想定となります。
●首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画(2016年3月29日)内閣府(中央防災会議)
プッシュおよびプル型支援として、被災都県に供給・調達する品目に携帯トイレ・簡易トイレが記載されています。
また、避難所避難者数や避難所外避難者数に必要な携帯トイレ・簡易トイレの必要数の算出式、トイレの必要数も記載されており、発災後4日目から7日目の4日間分のトイレの必要数は、約3,500万回分とされています。
●南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(2015年3月30日)内閣府(中央防災会議幹事会)
プッシュおよびプル型支援として、被災都県に供給・調達する品目に携帯トイレ・簡易トイレが記載されています。
また、避難所避難者数に必要な携帯トイレ・簡易トイレの必要数の算出式、トイレの必要数も記載されており、発災後4日目から7日目の4日間分のトイレの必要数は、約5440万回分とされています。